Island Life

< 努力と成功 | 自分探しんぐ >

2008/02/09

即戦力

なぜ大学で即戦力は育たないか

仕事ぶりを観察させ、少しずつ仕事を任せて、失敗できる環境で場数を踏ませることは、大学ではなく企業がやるべき人材育成だろう。

すぐに結果が出ないと我慢ならないメンタリティ

私も含め多くの人は、目の前の結果・即座に分かる結果に一喜一憂してしまいがちだ。すぐに出る結果でなければ我慢しきれずに、無意味だったとか言い出してやめてしまいがちだ。そんなことで、他人(や自分自身)を伸ばしてやれるんだろうか?

この「即戦力」とか「結果を出す」という話もどうも問題のとらえかたがずれている のではないかという気がする。

私にとって戦力となりそうな人というのは、どんなに小さくてもいいから状況の中で 問題点を見つけだし、解決策を考え、コミュニケーションを取りながら実行し、 評価可能な結果(成功でも失敗でも良い)を得られる人だなあ。特定の問題解決の スキルは最初は低くて全然構わない。例えば経験のないことをやらなくちゃ ならなくなった時、最初の問題の一つは、自分は何が出来て何が出来ないのかを 把握しなければならいということに気づくことだ。 それから、出来ると思ったことをとりあえずやってみて、結果を 検討できること。ジュニアで入ってくる人ならそれで充分だと思う。

ジュニアとシニアに期待するのは結果の確実性と大きさの違いであって、 ものすごく細くてもいいから入り口から結果(良い結果でも悪い結果でも、とにかく 検討できるような結果)までを自分でつなげられることが重要だと思う。 後はそれを太くして確実性を増してゆけばいいだけで。

で、そういうことはやっぱり大学とかでやっとくべきなんじゃないかと思うんだよね。 レポート出した、試験受けた、成績つきました、じゃなくて、 自分はこれでいけると思ってレポートを出した→意外なところで議論の漏れを 指摘されてorz、とか、こんなアクロバティックな手法でいいのかしらん→ ユニークと評価されたやったぜ、とか。そういう、自分で考える・やってみる・ 評価を受ける・検討して次に活かす、っていうサイクルが身についてることが 「戦力」の前提なんじゃないかなあ。(その意味では、大学時代、 レポートにせよ試験にせよ講評が返らないものが多かったのは非常に不満だった。 出しっぱなしで返ってくるのが点数だけじゃ、それは学生の尻を叩いて 勉強させるだけの意味しか無いではないか。フィードバックに耳を傾け、 自覚的にプロセスを改善するという点こそが成長の要なのに。)

もちろん、入ったら直ちにシステムを把握してがりがりコードが 書ける人が今すぐ必要、という要請が出ることはあるが、それならシニアを 雇えばいいんだし、それをしている時間も無ければそういう時のために ソフトウェアコンサルタントが居るわけだ (日本でこういう呼び名が一般的 かどうかは知らないけど、USではソフトウェアコンサルと言ったら 呼ばれるや否や仕様を把握してがしがしコードを書き、 短期間で要請された機能を実装する職人のことである)。 当然、新人よりもはるかに高い料金をチャージする。

いわゆる「即戦力」というのがそういうスキルを指しているとしたら、 ストレートで(社会人を経由せずに)学校を卒業したばかりの新人に それを求めるのは無茶な話だし、新人料金でそういうスキルを得たいというのも 虫が良すぎる。この意味での即戦力はどうしたって実戦経験をある程度 積まないと身につかない。大学をどう変えようが、いきなりそういう人間を 輩出させるようにするのは無理だろう。 (在学中に修羅場をくぐらせて生き残った人間だけ卒業させるとかいう 話ならまだわからんでもないが、そうすると逆にサバイバル能力にだけ 不自然に特化してしまいそうな気もするしなあ)。

Tag: Career