Island Life

< プログラムの手入れ | ピアノレッスン80回目 >

2013/01/31

コンピュータの壊れ方

かみさんのPC (最近はらむ太もちょくちょく使うので「家族用PC」になりつつある) で ブラウザがよくクラッシュするようになった。Flashプラグインあたりかなと思って apt-get upgradeかけてみたらfailする。エラーを追っかけたら /var/lib/dpkg/available がおかしい。 中を見たらところどころ変な具合に文字が置き換わってる。

あ、と思ってリブートしてmemtest86を走らせた。エラーがぞろぞろ。 むしろこの状態でそれなりに動いているというのが不思議ではある。早速新しいメモリを発注。

これまで自宅でも、ノートブックと自作デスクトップと合わせて 両手で足らないくらい使ってきたけど、だいたいPCというのはだんだんおかしくなるものだ。 グラフィックカードもこんな感じでいかにも徐々に壊れてくし、ディスプレイも、CRTの時代には色がおかしくなるとか時々画面サイズが変わるとか、LCDだと線が出てくるとか時々暗くなるとか(バックライトが壊れるのって多いよね)。全く突然に壊れたのって電源くらいかな。

なので、こんな記事には違和感を覚える。

パスワードは手書きでメモに残せ - 小田嶋隆の ア・ピース・オブ・警句

実体験から申し上げるに、パソコンは、あるタイミングで頓死するものだ。あれは、徐々に壊れるような柔軟な機械ではない。天寿をまっとうすることもない。大往生もしない。デジタルのこしらえものは、ある日突然、箱の中のカブトムシみたいに急死する。それも、多くの場合、働き盛りの一番忙しいときに。

それは多分、壊れかけの時に気づいてないだけでしょう、と思ったら 一応、小田嶋氏も予兆について書いている。

とはいえ、注意深く観察していれば、かすかにではあるが、予兆が無いわけではない。

たとえば、ハードディスクがクラッシュする前段階では、ディスクアクセスの際に異音が発生している例が多い。

いやそれは「かすか」じゃなくって思いっきり警告段階ですやん。あの人亡くなったのか、そういえば以前、階段登るときによく左胸がきゅーっと痛くなるってこぼしてたなあ、あれが予兆だったのか… って、その時すぐに医者に連れてけ、という話ですな。人体と違ってPCは簡単にパーツ交換できるんだし。

でも多分、自分だって、中身がよく分からないものについてはたくさんの予兆を見逃していて、突然使えなくなった時にびっくりするんだと思う。それは「デジタルのこしらえもの」に特有の話でもなんでもなくて、アナログな機械であっても、生物であっても、環境であっても同じことで。

上記引用部分の「デジタルのこしらえもの」という言い方は、 生物のように有機的で「動いている/壊れている」とはっきり割り切れないものとの 対比だろうけれど、ビットエラーがんがん出てるメモリでも曲がりなりにある程度 使えちゃってるかみさんのPCとか、デジタルの機械だって複雑化してくると だいぶ有機的な様相を呈してくると思う。

(もっとも、グランドの取り方が甘くてむき出しの基板に手を近づけると誤動作するような 「マイコン」を組み立ててた世代としては、デジタル回路ってのは アナログ回路が毛皮をかぶってるだけって認識だけど。)

あと、「どこが壊れたのか」という見方についての違いもあるかもしれない。 「電源が飛んだ」「HDDが読めなくなった」「LCDのバックライトが飛んだ」、どれも、 PC全体をひとまとめにしていたら「PCが壊れた」としか認識しないけれど、 問題の切り分けが出来ていると壊れたのはPCではなく個々のパーツで、交換すればいいだけだ。 「電源の中のこのコンデンサが飛んだ」とかまでは気にしないので、これも程度の問題ではあるけれど。 例えばリモートで何十台というマシンを使っていると、ちょくちょく壊れるノードがあるけれど、 何が原因で壊れたのかは気にならない。 部分的に壊れても仕事は続けられるようになっているし、壊れたノードはそれごと 管理者に取り替えてもらうor直してもらえばいい。ネットワーク全体として見たら、 いくつかノードが壊れても動きつづけるシステムは、やっぱり有機的な感じがする。

つまり「交換すれば元通り使える、という状態なら、突然死するとは認識されない」ってことだな。

Tags: Computer, 技術

Post a comment

Name: