Island Life

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2008/11/27

「御社が第一志望です」

Exploding Offer Season - Joel on Software

You ace the interview, of course. They make you an offer.

“That sounds great,” you say.

“So, when can you let us know?”

“Well,” you tell them, “I have another interview coming up in January. So I’ll let you know right after that.”

“Oh,” they say. “That might be a problem. We really have to know by December 31st. Can you let us know by December 31st?”

Tada! The magnificent “exploding offer.”

新卒就職者に対するJoelのアドバイス。企業のリクルータはオファーを出した後、 あなたを他の企業に取られないようにするために、他社の面接の結果が分かる前に 返事をさせようとする。そんな「時限付き内定」をもらった時にどうすべきか。

Joelの言っていることは至極まっとうなことなんだけれど、おもしろいと思ったのは、 きっと日本の「新卒就職活動」ではこういうアドバイスはまずなされないだろうなってところ。

Joelのアドバイスは原文を読んでもらうのが一番だけど、ざっと要約すると

  • そもそもそのようなオファーはunethicalである。
  • だからまずは返事の期限を伸ばしてもらうように押すべき。 ほとんどの会社はそれで気を悪くするようなことはない。 むしろ、あなたを他の会社も狙っているとわかった後の方があなたを欲しがるはず。
  • どうしても期限を伸ばしてもらえないなら、期限ぎりぎりに口頭でのみ返事をしておく。 契約書にサインしてはいけない。そして別の会社の面接を受けにゆくべき。
  • オファーを受けといて後で蹴るのは非常に失礼だと思うかもしれない。 それは確かにそうなんだが、他の面接を受けさせないための時限付きオファーというのは そういう学生の倫理観を利用しているのだ。交渉の結果どうしても期限を伸ばしてもらえなかった というケースに限り、蹴るのは止むを得ない。

私はこのような態度は企業にとっても学生にとっても極めて健全だと思うが、 どうも日本の新卒就職活動の現場では、 そもそも就活が「当事者間の契約交渉である」という意識自体薄いという気がしている。 いわゆる新卒就活をやったことがないので単なる気のせいかもしれない。 けれど、例えば「面接で『第一志望か』と聞かれたらもちろんはいと答える」みたいな アドバイスをたくさん目にすると、気のせいではないと思われるのだ。

何でも米国風にするのが良いと言うつもりは全く無いが、 日本のこの就活における奇妙な空気は、「これが日本の文化だから」と 守るようなものではないと思う。 就職あるいは採用活動を大事にとらえるならなおさら、 その場で不誠実になることを称揚するアドバイスが蔓延するのは害にしかならないだろう。

(なお、「誠実になる」というのは何も「御社はすべり止めです」と答えるのが良いという ことじゃない。あなたにその会社に入る気があるということは、少なくともある程度の期間に わたって会社にあなたの人生の多くを預けても良いと既に思っているってことだから、 素直にそう答えればいい。「第一志望」「第二志望」「すべり止め」という考え方自体が おかしいのだ。就職活動は受験ではない。 一定のルールのもとでゲームをして順位を決めるものではなく、 どうすればお互いにメリットを得られるかという落としどころを探す社会的な活動なんだから。)

Tag: Career