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2011/11/12

医療保険つづき

昨日の混合診療と皆保険は疑問点を絞るだけだったので、もうちょい調べてみた。

結局、こういういろんな当事者の利害が相反する話っていうのは、当事者が頭付き合わせてせてその「間」に落としどころを決めてくしかない。で、それをする現場はどうやら厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会であるようだ。

ここの当事者は、現在は

  • 医療を受けて医療費を支払う立場7人 (支払側代表)
  • 医療サービスを提供し報酬を受け取る立場7人 (診療側代表)
  • 公益の代表として6人

という具合らしい。それぞれの利害だけど、単純に考えてみる。

  • 支払側:保険料、医療費の自己負担分は少なく。保険診療の範囲は大きく。
  • 診療側:診療報酬は高く。診療の範囲は(混合診療禁止のもとでは)多い方がいい。
  • 公益側:国庫補助は少なく。保険診療範囲は安全性の確認された範囲で。

って感じかと思う。公益については微妙だけど、財政が逼迫してる状況での政府の利害を代表する立場はここに入るしかないんじゃないか。 診療側の診療の範囲については、混合診療禁止縛りがある前提では、なるべく保険適用になってもらった方が良いので範囲を広げて欲しい。ただ、縛りが無くなれば、そこの要求は緩くなる。

で、おおまかには Σ診療報酬 = Σ保険料 + Σ自己負担 + Σ国庫補助 が成り立つ。

公益側の戦略として国庫補助を下げるのが重要なら、(1)保険料を上げる、(2)自己負担分を上げる、(3)診療報酬を下げる、(4)保険診療範囲を減らす、というオプションがある。1,2は支払側とぶつかり、3は診療側とぶつかり、4は両方とぶつかる。しかし混合診療解禁にすれば、4でぶつかるのが支払い側だけになり、多少はやりやすくなる、とういことか。なるほど。

Tag: 生活

Past comment(s)

T.Watanabe (2011/11/14 08:26:19):

ちょっと話がズレますが... 日本医師会の主張を簡単に言えば「混合医療を導入すると国民の負担が増え、所得格差が命の格差になりますよ」という事ですが、そもそも"混合医療を導入した場合"の問題点だけを取り上げて、それを反対する理由にしている事自体に怪しさを感じます。 システムを更新する場合、新しいシステムの問題点だけを取り上げて現在のシステムの問題点を無視して検討するような事は絶対にしないはずです。 池田信夫氏のブログ http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51754488.html では医師会側の利害関係について書いてありますが、それで行動するのが悪い事だとは思いません。 むしろ利害関係を公にしないで主張している事の方が問題で、新しいシステムの問題だけを取り上げ"国民"が不利益を被るのだと言う事で、自分達の主張を国民の主張にすり替えているように感じます。 Don't put words in my mouth! 私は「利害関係者だから意見を言う権利があり、議論に参加する。」のがスジだと思っているので Royal We に対しては警戒しますね。 混合医療の導入で保険診療範囲が減らされるデメリットを取り上げるならば、現状のシステム(と存続した時)のデメリットとの比較がなされるべきだと思いますが、そもそも混合医療導入と保険診療範囲がセットで議論されている時点で、分かり易い答えにたどり付くように意図された問題に見えます。 医師会だけでなく同じようなやり方が多いのは、ヒナ鳥のように口を開けて誰かの言葉が入って来るのを待っている人が増えているからでしょうか。

shiro (2011/11/14 09:36:03):

そうそう、そこがわかりにくさに拍車をかけてるんですよね。このエントリでの利害関係者の構図を考えれば、医師会は診療側グループで、単純なモデルでは診療側は混合診療についてニュートラルだと思うんですよ。なので混合診療解禁に反対するのは他の要因があるはずで、その要因を明確に押し出さずに支払側代表の理由を持ってくるのは胡散臭いですね。

(前エントリで取り上げた、http://d.hatena.ne.jp/abz2010/20111112/1321129493 のブログの追記に、(開業医が反対するのは)「小規模の小売店が中心の団体が大規模小売店舗立地法の廃止に反対しているようなもの」とあり、それは納得しやすい話です。

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