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2012/02/24

結果を待つ間

オーディションを受けてから結果が出るまでの間の宙ぶらりんな気持には いつまでたっても慣れないけれど、身の処し方については何となくわかってきた。 これは、プロジェクトを提案して結果を待つ時や、採用面接を受けた後にも 多分共通するんじゃないかな。

ひとことでまとめると、 気持ちの面ではオーディションなど無かったかのように、 しかし行動面では既に結果が出ているかのように振る舞う、というのがコツだ。

気持ち

「あの質問にああすれば良かったかな」「あのディレクションにはこの演技の方が良かったかな」 などとつい振り返って思い悩みたくなるんだけれど、これはだめ。スパッと忘れるのが良い。

可能性だけならいくらでも考え得るので、この手の思考にはきりがない。 考え始めると他のことが手につかなくなって時間を浪費するだけだ。 特に、「受かった場合にしか通知されない」というケース (ほとんどのオーディションはそうだ) では 落ちてた場合にこの思考を断ち切るきっかけが無いのでいつまでも引きずることになる。

振り返って、うまくできなかったところを反省して次回に活かそう、 とか考えてたこともあったけど、これはほぼ無意味で、むしろやればやるほど 変に力が入って次もうまくいかない。理由はいくつかある。

  • 受かるか受からないかを左右する要素はものすごくたくさんある。 単にディレクターの欲しかったタイプと違っていただけかもしれないし、 他の配役との組み合わせでイメージがかぶっちゃうだけかもしれないし、 ディレクターには気に入られたけど(広告の場合)スポンサーが他の人の方を好んだだけかもしれない。 (自分の演技力が足りなかったってことももちろん可能性としてはあるけど、それが原因なら やるべきは演技の稽古であってオーディションの振り返りではない)。
  • 後知恵でいろいろアイディアを出すことと、その場で咄嗟に選んで行動することは、 別種のスキルである。振り返りは前者を鍛えるかもしれないが、 後者のスキルを磨くのには役にたたない。
  • 自分の出来は自分では判断できない。ベテランならもしかすると違うかもしれないけど。 人は、頭で考えて作った仕草よりも、その隙間から無意識にこぼれてしまう何かの方に より魅力を感じるものだ。そして定義により後者は自分で意識できない。

とはいえどうしても思い出しちゃうのは人の性なので、 思いだしそうになったらすかさず他のことを考える、とか、 オーディションの後は普段と違うことをする (旨いもの食べるとか遊ぶとか) とかも手だ。

行動

一方、日常では、受かることを前提とした行動と、落ちることを前提とした行動を 淡々とこなす必要がある。

受かることを前提とした行動は、例えば 撮影予定日を開けられるように他の仕事をスケジュールしておくとか、 脚本があれば読み込んどくとか。

落ちることを前提とした行動は、次のオーディションの準備をしとくとか。

シュレーディンガーの猫状態というか、 即座に受かったら続いていたであろう日常と、即座に落ちたら続いていたであろう日常を 両方とも当然の現実であるかのように行動する。

もし受かってたら、もし落ちてたら、こうなるかも、ああなるかも、というような 仮定の話をあれこれ考えず、機械的に埋められる範囲でスケジュールを埋めてゆく。

改善

一般には、振り返って反省して次に活かすのは改善してゆくのに有効な方法だ。

けれど、オーディションやプレゼンには、受け手がいて、彼らがどう思うかが全てである。 それを改善してゆくには、受け手からの具体的なフィードバックが不可欠だ。 自分だけであれこれ考えても何の役にもたたない。

現実にはオーディションにせよプレゼンにせよ一発勝負でフィードバックももらえないのが 普通なんで、オーディションワークショップなど、フィードバックがもらえる練習の場に 積極的に出てゆくのが王道だろう。

(ただまあ、オーディションの技術というのは氷山の海面に出てる部分にどう化粧するか、 みたいな話であって、それを支える海面下の部分を普段からどうやって構築しとくかというのが はるかに重要であることは間違いない。)

Tags: Career, 芝居

Past comment(s)

ゆめ (2012/04/16 01:13:15):

最近オーディションに落ちたばかりの者です。 期待していただけに、心のもやもやがはれませんでしたが、読ませていただいてすこし気持ちが晴れました。

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