Island Life

< Resourcefulness | 型と自由 >

2015/09/08

昨日のエントリにResourcefulnessとタイトルをつけたのは現場での具体的な例が頭にあったからだけど、エントリが長くなるので結局書かなかった。ので補足として書いておこう。

"Under the Blood-Red Sun" の漁船のシーンは、当時と同じ型の漁船(サンパン)を持っている人から船を借り受けて、カネオヘの小さな船着き場に接岸して1日かけて撮影する予定だった。

ところが漁船のエンジンが壊れて予定どおりに持ってこれない。とりあえず岸で撮れる部分はまとめて取ったが後はただひたすら、いつ来るともしれない船待ち。LAから呼んでる役者もいて撮影日程は動かせない。

結局別のボートで引っ張って来たんだけど、着いたのは午後もかなり回ってからで、潮が変わっちゃってて接岸できない。そんで、出演してる役者4人、監督、撮影監督だけがジェットスキーで沖合いに錨を下ろした船に渡り、撮影することになった。ものすごい狭い船上でカメラの位置も構図も限られるうえ、日没が迫っていて試行錯誤の余裕もない。音はワイヤレスのピンマイクの電波を岸で拾うだけでブームは使えない。当初の撮影プランをスクラップして現場合わせである。

この待ち時間、監督のTimは泰然と構えてて不安などおくびにも出さず、いざ撮影となればアイディアを次々と出しててきぱき人を動かす。もしかすると内心は大嵐だったのかもしれないけど、外面が落ち着いてたらみんな「きっと秘策があるに違いない。自分はやれる準備を全部やって備えておこう」って思うでしょう。一種のテクニックなのかもしれないけれど、それにしてもたいしたものだなあと思った。

そんな悪条件で撮ったにもかかわらず、出来上がったシーンからはそんなトラブルは窺えない (ちなみに船上のシーン中に実は岸で撮ったショットがあるんだけど、多分知らないで観てたら気づかないと思う。)

Tag: 芝居

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