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2007/05/26

理系文系

Ryoの開発日記: 無駄に喧嘩を売る

あの、能力という観点で、文系の人間が理系の人間より優れているものって何かあるんですか?

釣りっぽいけど、この手の話は議論を見ててどうも噛み合わないものがあるなあと 感じていた。理系の晩年 文理格差の拡大 なんかもそう。いやもちろん、「文系」「理系」という分類自体がナンセンスなんだけど、 日本では現実としてそういう分類があるわけだし、 そういう切り口で統計を取ったら格差もあるのだろうから、 全く無益な議論というわけでもないんだろうと。

で、ふと、噛み合わない理由らしきものを思いついた。 「理系」に進む人にも、「理系的なるものが得意だから|好きだから」進む人と、 「文系的なるものが不得意だから」進む人がいる。「文系」の方もまた然り。 もちろん両方の理由を持っている人もいるだろうが、 「理系的なるものが得意|好き」というのと「文系的なるものが不得意|嫌い」というのは 実はかなり独立した現象なのではなかろうか。二分法で考えてしまうから 相対的にどちらかが得意|好きであると判断してしまってるだけで。

で、「文系」vs「理系」の議論が噛み合わないのは、 「理系的なるものが好きで理系やってる人」vs「理系的なるものが嫌いで文系やってる人」 を比べてる人と、 「文系的なるものが好きで文系やってる人」vs「文系的なるものが嫌いで理系やってる人」 を比べてる人がいるからなんではないか。 そりゃ前者の議論をしてる人は「理系の方が出来て当然」になるし、 後者の議論をしてる人は「文系の方が出来て当然」になる。

上のリンク先のフィクショナルな文理格差の話は最初に読んだ時に猛烈に違和感が あったんだけど、こう考えるとすっきりする。 だってあの話って「文系的なるもの(あの話の中では人付き合いというのは こちらに分類されてるらしい)が嫌いで理系に進んだ」人の話でしょう。 大学生活や仕事の記述を見るに「理系的なるものが得意」だとは思えないし。 「文系」と「理系」で統計的に所得格差が生じているのは、「理系」の待遇が とりたてて悪いわけじゃなくて、「所得を得やすい能力」のうち 「文系的なるもの」に分類されるものの方がやや多いだけかもしれない。 だとすればその格差は線引きから生じたアーティファクトに過ぎないのかもしれない。

問題は、「文系」「理系」という線引きが個々人の能力や興味とは無関係に なされているにもかかわらず、システムがそうなっているせいで 思考の枠が「文系」vs「理系」に規定されてしまうことだと思う。 教わる方も教える方も。例えば数学に興味を持った生徒が 数学者の伝記をがんがん読んで数学の歴史にものすごく詳しくなったとする。 けれど数学史だけに詳しくても歴史で点数は取れない。 数学は出来るから「理系」に分類される。 そして数学史から歴史全体に興味を広げてゆくチャンスを失う。 そんなことがあったら不幸ではないか。
(追記2007/05/27 15:46:36 PDT: このような誤った認識の典型が、上の「文理格差」の 話で出てくる、「人付き合いが苦手だから理系」という理由づけだ。 人付き合いの上手さと「文系」/「理系」とは全く関係がない (数学者の変人ぶりなどがおもしろおかしく語られたりするが、 どんな分野でも一番先っぽにいる人には相当変人が多いのだ)。 にもかかわらずそのような理由づけが受け入れられてしまうのは、 「文系」「理系」に関するステロタイプがあって、またその ステロタイプに自分を適応させてしまう人々がある程度居るという ことだろう。血液型性格診断と同レベルの話だと思う。)

Tag: Career

Past comment(s)

sasagawa (2007/05/26 02:33:24):

仕事柄、いろんなタイプの経営者の方と接触しますが、総じて言えることは成功されている人たちは自分のやっている仕事が楽しくてたまらない人たちです。理系とか文系は関係ないですね。私自身も文系ですが理学部に入れていただいて勉強し直しています。勉強しなおすチャンスなど日本ならいくらでもあります。夢を実現させていく能力が大切なことだと思います。Shiroさんは着実に夢を実現されているようで素晴らしい生き方ですね。

kanbayashi :

Ryoの開発日記の中の人です。はじめまして。 拝謁ながら、コメントに返答させて頂きましたので、ご覧いただけたら幸いです↓ http://d.hatena.ne.jp/kanbayashi/20070528/p1#c