Island Life

2020/03/12

Defense

らむ太の通う中学校では、 最終学年(8年生=日本の中学2年生)の終わりに卒業審査に相当するものがあって、 それに合格しないと卒業できない。 といっても受かるまで何度もリトライするというものなので、 今まで合格できなかった生徒はいないらしいが。

この卒業審査はportfolio defenseと呼ばれている。 大学院の論文審査をthesis defenseというがそのdefenseと同じ用法。 自分の主張を立証して、審査委員からの質問に答えるあれだ。 様々な疑問に対し言論でもって自説の成立を堅守するということだ。

らむ太の学校の場合、生徒は以下の5つのスキルを卒業までに身につけることがミッションとなっている。

  • Reasoning Analytically: Making judgements based on reasons and evidence
  • Managing Effectively: Finishing what you start, with effort, organization, and care for quality
  • Communicating Powerfully: Expressing yourself so that others understand
  • Collaborating Productively: Working together toward a common goal
  • Thinking Systematically: Seeing patterns, making connections, and designing solutions

で、8年生では学年後期いっぱいを使って、 自分はこれらを確かに身につけましたということを証拠を揃えて論じる資料を作り (これをportfolioと呼んでいる)、審査会で学外の大人を含む審査委員の前で発表して 自分の主張をdefenseしなければならない。

資料と発表それぞれについて、カバーすべき範囲と満たすべきクオリティの基準がかなり 細かく定められていて、それらはリーズナブルなんだけど、 大人でもちょっと本気で取り組まないと合格できなさそうな基準ではある。 単純に自分のやったことやできることを並べるだけではなく、 実際にやったことについて、どのスキルをプロセスのどこに適用したらどうなったのか、 を論理立てて具体的にわかりやすく説明しなければならない。

それだけに、合格することは、自分の主張を緻密に組み立てて他人を説得する、そのプロセスを 妥協なしに経験することになって、大きな自信になるようだ。

日本では中3の終わりに多くの人が高校受験を経験して、それがひとつの試練になるのだろう。 米国では公立高校なら入試はないので、そのかわりの試練と言えなくもない。 ただ、defenseのプロセスだと、 自分の「作品」を何度もイテレーションして、他者のフィードバックを受けながら 十分な質になるまで改善してゆく、という経験ができる。

一度挑戦して採点されてはいここまででした、で終わらせるのではなく、 何度もトライして自分なりの妥協のない基準まで作り上げる、 という経験を今のうちにしておくのは悪くないだろう。 今後どういう道に進むにしても、結局のところ、 評価基準を自分の中に持っていかねばならないのだから。

で、明日がportfolioの第一次締切りなので最近は夜遅くまで頑張っている。 「明日の8時から先生が審査を始めるからそれまでにアップロードできれば…」 なんてことを言い出してて、うーんそういう考え方は、 父さんも身に覚えがありすぎるほどあるから否定はできないが、 もうちょい早く準備しておけよ息子よ。 締切りに苦しむ親の姿を散々見ていただろうに。(いやそれで学習してしまった!?)

Tag: 生活

2019/12/30

振り返ってみると2019年は色々学んで楽しい年だった。

受けたアクティングの集中クラスは Laura Gardner (Monologue & breakdown), Iris Klein (Meisner, Scene analysis), Linda Castro (Shakespeare), Donna Blanchard (Monologue)。あとSAG-AFTRA conservatoryの単発クラスをいくつか。

Lauraにアクセントを直すように言われてアクセントリダクションとスピーチのレッスンを受け始め (継続中)。とても良い。もっと早くやっとけばよかった。

あと10月から役者仲間で集まって週一のオーディション練習。これは普通のオーディションのように2日前に脚本が配られて、準備していってオンカメラで演技を録画して、あとで皆でレビューするんだけど、同じ脚本を他の役者がどう解釈して作ったかを見られる機会ってあまり他に無いのでとても参考になる。自分が思いつかなかった解釈がたくさん出てくる。

受けたオーディションは16回で微増。リモートのセルフテープオーディションは申し込んでもその後セルフテープに招待されるのが2割くらい。ただ、今月に入ってメインランドのエージェントと契約したので来年は増えるかもしれない。もっと準備を日常に組み込んでスムースにできるようにしておかないと。

Tag: 芝居

2019/10/31

覚えるより忘れる方が難しい(こともある)

医学生の訓練や試験のための、standardized patientというプログラムがある。 「患者役」をする役者を用意して学生に診察させるというものだ。 2日ばかり、その患者役をやってきた。

患者役は、訓練や試験に合わせてあらかじめ設計された設定を覚えて、 その設定の人物として診察を受ける。評価のためにはばらつきがあっては困るので、 設定は以下のようにかなり多岐に渡る:

  • 氏名、年齢、家族構成
  • 個人の経歴 - 産まれ、育ち、学歴職歴、病歴、普段の日常生活(スケジュール、食事、アルコールや喫煙、運動、etc.)
  • 家族の経歴 - 親、兄弟、子供、それぞれについて生年や現在の居住地、健康状態、死去している場合は死因と死亡時の年齢
  • 来院の理由
    • 最初に症状を聞かれた時、その追加説明を求められた時、など、いくつかの開始時の会話については台詞が決められていて、常に同じ台詞を言わなければならない
    • 他の病態について十数項目の設定があり、それらは質問されたら答える

これを頭に入れて、その人物として問診を受ける。さらに、学生の診察終了後に 評価フォームがあり、必要な手順を踏んでいたか(例えば身体に触る診察の前に手を洗ったか)、 コミュニケーションは十分だったか、などを記入する。

今回は医学学校1年生が対象で、十数人の学生さん相手に患者になってきた。


始める前は、自分としては何を聞かれても自然に答えられるインプロビゼーションのスキルに 不安があったのだけれど、それはさほど引っかからなかった。 普通に芝居をする時のようにキャラクタを作っておけばほぼok。

意外に難しかったのが、評価のところだ。 20分の診察を受けた後、10分の間に診察の様子を思い出してフォームに記入してゆくのだけれど、 3~4人過ぎたあたりから、 今の学生はこの質問をしたっけ?それともあれはその前の学生だったっけ、 などと考え込むことが多くなった。記憶が混ざってしまうのだ。

普段の芝居の稽古では、繰り返すうちに新たな設定を思いついたら それはどんどん以前の設定に追加されてゆく。 今回も自分のキャラクタはそうやって繰り返しの度に肉付けされてゆくのだけれど、 相手との問答に関しては、学生ごとに記憶をリセットしないとならない。 でも記憶はそう都合良く消えてくれない。

それに気づいてから試してみたのは、学生ごとに頭の中で背景色を別の色に塗りつぶす、 というものだった。脳内背景と問答を結びつけておけば区別しやすいかなと。 効果のほどは、多少はあったような気がするけど、 もっと経験を積んだら別の方法を思いつくかもしれない。


1年生ということは入ってほんの2-3ヶ月ってわけで (米国では4年生大学を卒業してから医学学校に入るので、年齢は多分20代が中心だろう)、 おそらく見知らぬ患者(役)を診察するのは初めてだったろうから、 学生によって問診内容や診察内容にかなりばらつきがあった。 身体の診察の後で忘れていた質問を思い出してまた問診が始まったり、 さっき聞いてるはずの情報をまた質問したり。 あと、こちらは痛みを感じて苦しそうにしているので、 それに共感して慌てちゃってる感じの学生もいた。 こういう経験を積んでだんだんてきぱき診察できるようになってゆくんだろうなあ。

"That's great!", "Terrific!" が口癖の学生がいて、 多分普段そういうノリで会話してるんだと思うんだけど、

「痛みはどのくらいですか? 1から10まで、10を最大の痛みとして?」
「8か9くらいです…」
「That's great!」

「ご両親は健康ですか」
「父が56の時に急な心臓発作で亡くなっています…」
「Terrific」

その口癖は絶対直した方がいいぞ…

Tags: 芝居, 生活

2019/09/14

眼鏡のつると3Dプリンタ

以前、眼鏡のつるが折れた時は金属部分だったので、1.05mm径の穴を開けて鉄線で修理したのだった(もう5年前か)。 その翌年だったか日本に行った時にフレームを新調したのだが、かれこれ4年。先日またぽきりと折れてしまった。

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こちらから交換パーツを入手する手段は無さそうだし、 直すにしても固定が難しそうだ。 なので早々に諦めて新しい眼鏡を注文したのだけど、その後で眺めているうちに、3Dプリンタで固定具が作れないかと考え出した。

うちのda Vinci Jr.はそんなに精度が出る機械じゃないのでサブミリ単位の加工は多分無理だろうと思いつつ、まあだめもとで、と作ってみたら案外しっかりと固定できてしまった

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この写真は仮止めの時だが、ただはめ込んだだけでも実用に差し支えない程度に止まっている。 力をかけるとややぐらつきがあったので0.05mmステップでモデルをいじって何個かつくり、 最終的にほぼぐらつかないパーツができたのではめ込んだのち接着剤で固定した。 材質(PLA)自体がそれほど強くないのでそう長くは持たないだろうけど、 新しい眼鏡がきたらこっちを予備にできる。 表面も完全にスムースではないけれど、廉価版のプリンタでこんだけできるなら上等かな。


将来のためのメモ。このサイズ(外側6.0mm×4.0mm、内側は細い方が3.5mm×2.7mm) でそこそこ綺麗に出すためのパラメータ:

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色々試したが、Detail Threshold 0.02がわりと決め手だった。これがデフォルトのままだとLayer heightを0.1mmにしても表面がざらつく。Detail Thresholdを0.01にするとエイリアシングみたいな変なノイズが乗ってしまった。

あと、中空なんで縦で成形したんだけど、肉厚が薄いせいか下の方1mmくらいがちょっと膨らんだ感じになるのでそこは成形後に切っている。


今回、フィラメントのloadingでトラブったのでそれについてもメモしておく。

loadしようとしてもノズルからマテリアルが出てこない。 ノズルをクリーニングしてみたが効果なし。 extruderを外してフィラメントの切れ端を上から突っ込んでみると、 途中で何かにひっかかって止まる感触がある。

extruderのカバーを外してフィラメントを入れてみると、 写真の楕円で示した部分で止まる。

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ノズルとヒーターを外してみると、写真の部分に一度溶けて固まった フィラメントのくずがたまっていた。特に固着してはおらず、ペンチで簡単に取れた。

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Tag: 生活

2019/08/30

Iris Klein Acting Class

Iris Klein氏による2週間のアクティングクラスを受けていたのだがとても良かった。

http://www.actingclassnow.com/

1週目はマイズナーの基礎: Repetition、Independent Activity、Improvisation (Scott RogersのクラスでEmotional Preparationと言っていたものの応用)、 それからActioning。

2週目はオーディションマテリアルを使って、2日かけてブレークダウンし、2日かけて撮影。

  • マイズナーから直接教わっていただけあって、マイズナーエクササイズのガイドが非常に的確。Repetitionにおけるtruthとはこういうことか、というのがはっきりわかった。
  • 前半のエクササイズも後半のシーンワークも、一人もしくは一組づつやるのをみんなで観る、という形で、他の人がやっているのを観ることから学ぶというのが大きいことを実感。
  • 一つのマテリアルをとことん分析できたのも良かった。今回、最初のブレークダウンで 決めたobjectiveがやってみるとうまくいかなくて、さらに考えて別の発見があった。

Tag: 芝居

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