2011/12/20
質問の成長
子供は何でも訊きたがるが、だんだん質問の仕方が変わってゆくのを観察するのはおもしろい。
最初はわからないことだらけで、未知のものを見ると反射的に質問するけれど、 何らかの答えが返ってきたらもうそれで満足するようで、 返事を聞き終わる頃にはもう次の対象に興味が移って別の質問をしたりする。 この頃の質問は全くランダムか、良くて緩い連想ゲームだ。こんな感じ:
そのうちだんだん知識が増えてきて、知識と知識のネットワークが出来てくるのだろうか。 一つの質問の答えを聞いて、それを踏まえて次の質問を出してくるようになる。 質問の方向は依然としてランダムウォークに近いけれど、履歴があるわけだ。
さらに進むと、おそらく脳内に知識のネットワークで作られた世界のモデルが 出来てきて、「欠けている知識」の存在がだんだん意識できるようになり、 「何を知りたいのか」というのがよりはっきりしてくるようだ。
何を知りたいのかはっきりしている、と言っても、それは脳内で欠けているものとして なんとなく意識されているだけで、言葉で明確に説明できるわけではない。 この段階では、質問をうまく組み立てられずに、 見当違いの答えがが返ってきて「ちがう、それじゃなくて!」なんて怒り出したりする。 けれどもうまく水を向けてやると、自分がどういう前提のもとで、どういう仮説を立てて、 その仮説を裏付けるもの(知識の穴を埋めるもの)として何が欲しいのか、 ということをだんだん説明できるようになる。
質問とは奥深いものだ。良い質問をするには、まず自分が何を知っていて 何を知らないのかを知らなければならず、次にその自分の知っていることと知らないことの 境界を言葉にして人に説明できないとならない。
でも、子供の知的能力の成長具合を見るのに、どういう質問をするかを見る、 というのは、単に知識を問うよりずっと有効であるように思う。
(続き→ 質問力を育てる)
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