2012/12/27
正社員
日本の「正社員」という概念がどうもよくわからなかった。
こちらではfull time/part timeの区別、exemptionの有無、 期限の有無、などの違いはあるが、その組み合わせは場合に応じて色々あり、 正社員vs非正規という線引きがあるようには思えない。 例えば予算が期限つきなら有期雇用の契約になるし、 個人の働ける事情と職種に応じて週に40時間にするか30時間にするか20時間にするか、 など色々あり得る。 指揮系統は別に組織されるので、別に40時間働いている人が20時間働いている人より 無条件に偉いわけではない (マネージャーは大抵フルタイムだろうけど、それは 「フルタイムだから」ではなくて職務上必要だからだろう) し、無期契約の人が 有期契約の人より給料が高いわけでもない。職務が同じなら給料も同じはずである。
被雇用者の立場で大きな差が出るのは、医療保険が職場でカバーされるか どうかで、確かある程度以上の規模の会社では30h/週以上働く人には 医療保険を提供しなければならなかったはず。太っ腹な会社だと20h/週でも 医療保険を出してくれるところがあるので、医療保険だけのために半分そういうところで 働いて残りの半分でフリーランスの仕事をする、なんて人もいる。
前置きが長くなったが、以下を読んで日本式「正社員」の概念が腑に落ちた。
研究者は職務無限定なのか?:hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
世間で言う「正社員」とは、実定労働法ではパート法8条1項の「通常の労働者」であり、単に「無期」であるだけではそれに当たらず、「当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が…変更すると見込まれるもの」です。
私の本では、これを職務も勤務場所も無限定で、契約が「空白の石版」であるものと表現しました。それ故に、つまり中身が無限定であるがゆえに、たまたまあるときにやっている仕事が無くなっても、別の仕事に移すことが完全に可能であるがゆえに、「仕事が無くなったからクビね」という万国共通の一番自然な解雇理由が通用しないわけです。
なるほど。職務ベースの募集が無かったり、突然の辞令で配置転換があったりする話を 聞いて不思議でならなかったのだけど、そもそも職務内容と配置に関して白紙契約なのか。 これは白紙委任状を渡すみたいなもんで、終身雇用が前提で一生の生活の安定と 引き換えにするならともかく、その前提が崩れたら被雇用者が圧倒的に不利だな。
とはいえこれまではいろいろな慣習がお互いを支えてローカルマキシマムに落ち着いていたのだろう。 前提が変わってその最適点はもうかなり 最適かどうか怪しくなっているけど、一つのパラメータだけを独立して動かそうと すると一度山を降りないとならない(もっと悪くなる)ので動かすに動かせないって印象。
Tag: 生活
Post a comment