Island Life

< 訛りとか | アメリカ人とアクセント >

2013/09/10

目的のために必要なことに資源を振り分ける

Paul Grahamの創業者の訛りの波紋の続き。

makotoiさんが、発端となったPGのインタビューの該当個所を訳してくれている

One quality that's a really bad indication is a CEO with a strong foreign accent. I'm not sure why. It could be that there are a bunch of subtle things entrepreneurs have to communicate and can't if you have a strong accent. Or, it could be that anyone with half a brain would realize you're going to be more successful if you speak idiomatic English, so they must just be clueless if they haven't gotten rid of their strong accent. I just know it's a strong pattern we've seen.

悪いCEOとしての兆候の一つとして強い外国語訛りがある。なぜかはよくわからないんだけれど、起業家っていうのは多くの繊細なことを伝えなければいけないから訛りが強いとそれは無理なんだ。 それとも、ちゃんとした英語を話した方がより成功するだろうってことは脳みその中身が半分でも詰まっている人は気づくってことかもしれない。だからもし彼ら(訛の強い人たち)が彼らの訛を取り除いていないってことは、彼らは無能に違いない。こういうことが強い傾向としてでてくるってことを我々は見てきたんだ。

最後の部分は本当にポールグレアムのいったことなのか新聞記者が誇張したかはわかりませんが、このセリフを言葉どおりうけとめると多くの人が激怒するのも無理ないかなと思います。訛のきつさは気づいたからといって簡単に取り除けるものではないですしね。もちろん訛りの強い人が無くそうと努力するのは大切ですが、そういう人たちに向かってclueless(無知な、無能な)という言葉を使うのは外国人に対する配慮が欠けていると思われてもしかたありません(たとえポール自身が外国人起業家のためを思っての発言だとしても)。

えーっと、PGはものすごく当たり前のことを言ってると思うんだけど、なんで怒るのかな。 これ、英語の部分を何に置き換えても成立するよ。日本のドメスティックな市場にものを売り込みに きた外国人が、頑張って日本語を喋ろうとしてるのはわかるんだけど何言ってるかよくわからない、 となったら、「通訳雇うか、もうすこし練習してからくればいいのに」って思わない? その商談が真剣勝負であればあるほど、 勝負に臨む準備が単に不足していると思われても仕方ないんじゃないかなあ。

そこに割く資源を削ってでも、より良いものを作る方に注力しました! って自覚してるなら、 それで勝負をかけてもいいけれど。それは既に「一般的には不利と思われるだろう」ってことを 織り込み済みなわけで、だからPGの発言に怒る必要もない。

私自身かれこれイギリス在住9年になりますが、海外に初めていったのが大学に入ってなのでネイティブなみの発音には一生なれる気がしません。最近も自分のアプリのデモビデオを作ったところ「ナレーションは英語ネイティブの人にしてもらったら?このクレイジージャパニーズみたいなナレーションはちょっと」という痛いツッコミをもらったところです。

「自分ですべてやること」に価値がある作品ならともかく、 「より多くの人にアピールするものにする」ことが目的なら、 その目的に沿うように必要な資源を割り振るのが求められてることで、 ナレーションなんてのは自分でやる必要はないんだから、 頼めるならうまい人に頼めばいいだけの話じゃないかなあ。

私もオーディションに行って、 標準的な英語(とか、ピジン英語)を喋る役だとアクセントで落とされることはあるけれど、 それは別に怒るところじゃないよね。仕様が合わなかったってだけで。

何というか、理不尽な仕様を要求されるなら怒りもするけれど、 リーズナブルな仕様なら、それで何かをしたい方が合わせるのは普通に見込むべき工数だよね。

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まあそれとは別の話として、ハリウッド映画で日本人役がひどい日本語喋ってると 日本市場舐められてんな、とは思うけど。日本の市場規模が10倍になったら、 ネイティブ並の日本語を喋れない役者が日本人役をすることはなくなるんではなかろうか。

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(追記2013/09/11 21:23:50 UTC): もしかして、Paulの言ってることが「英語圏に出てくるなら 英語くらいまともに喋れるようになって来いやゴルァ」という一般的な話として 理解されてるケースがあるのかな。

Paulはここでスタートアップ創業者の話をしている。1割生き残れるかどうかっていう 厳しい勝負の世界の話だ。そこでは、少しでも勝てるオッズを上げられる方策があれば 検討すべきだし、「これをすればほぼ確実に負ける確率が減る。そのやり方も確立されている」って 方策があるなら、願ってもないことではないか。もちろんそれにコストがかかるなら、 他の優先事項とバランスを考えた上であきらめる、という判断はありだけれど、 その検討さえしないでリングに上がってきたら「clueless」と言われてもしょうがないんじゃない?

Tag: 英語

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