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2015/08/26

"The Martian", "Revival"

最近読んで当たりだった小説2編。

Andy Weir: The Martian この秋に映画公開だけどその前に原作読んどこうと思って。 読み始めたら止まらなくなったうえ、読後に勢いで2度読みまでした。 サバイバルのための作業の見積りの計算部分など、映画だと多分流されちゃうから 味わい尽くすには小説を先に読んで正解だったかな。

主要登場人物がみんな(ある意味)ナードなのが素晴らしい。 宇宙とか他の惑星といった容赦ない環境では、まずその敵対的な 物理法則に合わせないことには手も足も出ないわけで、 根性とか感情とか気合では問題は解決しない。 話が出来る前提に立つまでに膨大な理詰めが 必要で、そこがナードの活躍しどころだから。前提が出た上でどの選択肢を 選ぶべきかってところでは人情が絡んで来るんだけど、その議論が出来る資格を 持ってるのはそこまでの議論を追ってきてかつ実際に手を下せる当事者だけで、 そこに外野の政治的な思惑とかが入る余地がないっていうのも、ナード心をくすぐる設定だ。

最初から最後までずーっと面白いんだけど、SOL196でのWatneyのミス (ドリルのやつ) は似たようなことをやらかした思い出が蘇って胃が痛んだ (もちろん自分のは生死に関わるような話じゃなかったけど。後から、あ、あの時のアレが… って気づいてジワッと冷や汗が出るイヤな感じが何とも)

Stephen King: Revival 安定の老境キング。超自然的な部分をspecial kind of electricityでさらりと 済ませちゃうのがThe Martianと対照的だけど、身に余る力へのアクセスを得てしまった 人間の行動と、弱さで身を持ち崩してしまった人間の贖罪についてはリアル。 ストーリーの骨子はそれほど複雑でないのに読ませる力のある文章や伏線の張り方が 相変わらずうまい。

アンタゴニスト(Jacobs)の真の目的は何だろう、それを知りたい、というのが 読み進める一つのドライブになってるんだけど、それが判明してから 振り返ると最初から答えが出てるんだよね。 うわぁやられたって感じだ。 キングのベストとは言えないけれど、Constant Readerなら読んで損なし。


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