Island Life

2013/09/23

塑造

粘土と言葉

私はできれば心棒のことなど考えないで、粘土を取ったりつけたりしたい。だから心棒はできるだけシンプルな方がいい。途中でイメージが変わってきても、どんどん動かして変えていけるように。その方が、作っていて楽しい。「やり直し」は大変だけれども。

ああ、自分のプログラミングスタイルはこれにそっくりだ。

「シンプルな心棒」を使うことの懸念は、当初の予想とは大きく違う形態に なった時に粘土自体が自重を支えられなくなって崩壊しないかってことだけど、 プログラミングの場合、後つけでの抽象化の層が一種の「焼き固め」のような作用を持ってて、 追加の骨組みをその場で作りながら進めることができる。 同じパターンのものをもう一度作るなら、形が分かってるから最初から強固な骨組みを 作れる方がいいのだけれども。

この「後つけのやりやすさ」と「焼き固めの強固さ」のバランスが言語の使い勝手を 決めてるような気がする。Common LispとSchemeではCLの方が若干前者に傾いてて、 自分としてはそれがちょっとルース過ぎるような感覚がある。このへんは人それぞれで、 Schemeが固すぎると感じる人もいるのだろう。

Tag: Programming

2013/09/20

ピアノレッスン107回目

  • Kapustin: Concerto Etude Op40-1
    • だいたい暗譜したけどまだごくゆっくりとしか再生できない。 これまでのKapustinよりはかなり弾きやすいと思うけど、曲が簡単なのか 自分が慣れてきたのか。両方かもしれない。

時間が余ったのでBrahmsのRhapsodyももう一回弾いた。 録音するまではキープしたいけど、いつ録音できるかなあ。

Tag: Piano

2013/09/14

ピアノレッスン106回目

  • Bach: WTC II No. 5 (D major)
    • Good.
  • Brahms: Rhapsody Op.79 No.2
    • OK. 跳躍時のミス: スピードを上げても、着地点は必ず意識するようにする。

思いがけず長くかかってしまったがそこそこ満足のゆくところまで弾けた感じがする。

来週からKapustin。並行してずーっと譜読みはしてたんだけど、 相変わらずなかなか覚えられない。

Tag: Pinao

2013/09/13

アメリカ人とアクセント

ヨーロッパに比べて、US出身の人は訛りに非寛容ではないかという話を読んでふと思った。

USでは、日本に比べて、音声会話により多くの非言語情報を載せているのではないか、なんてことを以前ちょっと書いた (オーディオブックとオーラルコミュニケーション)。

例えば初めての人と、「電話で話す」/「対面で話す」というケースを考えたとき、 対面の方がよりその人を知ることができるってのは (受け取れる非言語情報の量が多いので)当然なんだけど、 では電話だとどのくらい「知ることができる」感じが減るか。 そのギャップが、USの方がかなり少ないんじゃないかと。

採用面接を電話越しにする、って言ったら 日本だと「それじゃ相手のことがよくわからない」って思う人が多いんじゃなかろうか。 (今は変わりつつあるのかな? でもネットでは 就活で交通費が大変だなんて話をまだ目にするからなあ。 USだと電話面接で人数絞った後は、会社が交通費を出して対面面接に呼ぶ。)

日本では、 「自分はどういう者であるか」とか「自分と相手との距離をどう見積もっているか」なんて情報が 敬語や挨拶の体系にプロトコルとして埋め込まれているように感じる。 US英語だとそういうプロトコルが無い分、声の調子に多くの情報が載るのかもしれない。 例えば「命令形+please」って文、言い方によって「絶対的上位からの強い命令」にも 「弱い立場からの懇願」にもなる。 言い方によってニュアンスが変わるのはどの言語でもあるけど、 日本語なら言葉自体を変えるだろうな、と思えるくらいの幅の広さを調子の方に含められているように思う。

で、アメリカ人が訛り(アクセント)により敏感なのだとしたら、それは アクセントに、発言者の出自 (出身地や階層) を伝える有力な手がかりを探そうと してしまうからかもしれない。

あと、この議論をする時に、 日本の感覚でいう「訛り」とUSで言うaccentはちょっと印象が違うことに注意が必要かもしれない。 日本では、1〜2世代くらい前はともかく、TV普及後育った世代では、「共通語」という基準があって 「訛り」といったらそこからの逸脱という感覚があるんじゃないかな。 USでも一応ニュースキャスターとかが喋る general american accentというのはあるんだけど、 これは目指すべき理想の発音というよりも「中立な、色のつかない」発音のためのものという印象。 人口の多い大都市圏はそれぞれの地方のアクセントで喋ってるので、 general american accentを喋らなかったら田舎者だって感覚はあまりない、と思う。 (「田舎のアクセント」というのが無い、というわけではない。メジャーなアクセントと マイナーなアクセントがあるけれど、正しいアクセントというのはない、ってこと。)

Tag: 英語

2013/09/10

目的のために必要なことに資源を振り分ける

Paul Grahamの創業者の訛りの波紋の続き。

makotoiさんが、発端となったPGのインタビューの該当個所を訳してくれている

One quality that's a really bad indication is a CEO with a strong foreign accent. I'm not sure why. It could be that there are a bunch of subtle things entrepreneurs have to communicate and can't if you have a strong accent. Or, it could be that anyone with half a brain would realize you're going to be more successful if you speak idiomatic English, so they must just be clueless if they haven't gotten rid of their strong accent. I just know it's a strong pattern we've seen.

悪いCEOとしての兆候の一つとして強い外国語訛りがある。なぜかはよくわからないんだけれど、起業家っていうのは多くの繊細なことを伝えなければいけないから訛りが強いとそれは無理なんだ。 それとも、ちゃんとした英語を話した方がより成功するだろうってことは脳みその中身が半分でも詰まっている人は気づくってことかもしれない。だからもし彼ら(訛の強い人たち)が彼らの訛を取り除いていないってことは、彼らは無能に違いない。こういうことが強い傾向としてでてくるってことを我々は見てきたんだ。

最後の部分は本当にポールグレアムのいったことなのか新聞記者が誇張したかはわかりませんが、このセリフを言葉どおりうけとめると多くの人が激怒するのも無理ないかなと思います。訛のきつさは気づいたからといって簡単に取り除けるものではないですしね。もちろん訛りの強い人が無くそうと努力するのは大切ですが、そういう人たちに向かってclueless(無知な、無能な)という言葉を使うのは外国人に対する配慮が欠けていると思われてもしかたありません(たとえポール自身が外国人起業家のためを思っての発言だとしても)。

えーっと、PGはものすごく当たり前のことを言ってると思うんだけど、なんで怒るのかな。 これ、英語の部分を何に置き換えても成立するよ。日本のドメスティックな市場にものを売り込みに きた外国人が、頑張って日本語を喋ろうとしてるのはわかるんだけど何言ってるかよくわからない、 となったら、「通訳雇うか、もうすこし練習してからくればいいのに」って思わない? その商談が真剣勝負であればあるほど、 勝負に臨む準備が単に不足していると思われても仕方ないんじゃないかなあ。

そこに割く資源を削ってでも、より良いものを作る方に注力しました! って自覚してるなら、 それで勝負をかけてもいいけれど。それは既に「一般的には不利と思われるだろう」ってことを 織り込み済みなわけで、だからPGの発言に怒る必要もない。

私自身かれこれイギリス在住9年になりますが、海外に初めていったのが大学に入ってなのでネイティブなみの発音には一生なれる気がしません。最近も自分のアプリのデモビデオを作ったところ「ナレーションは英語ネイティブの人にしてもらったら?このクレイジージャパニーズみたいなナレーションはちょっと」という痛いツッコミをもらったところです。

「自分ですべてやること」に価値がある作品ならともかく、 「より多くの人にアピールするものにする」ことが目的なら、 その目的に沿うように必要な資源を割り振るのが求められてることで、 ナレーションなんてのは自分でやる必要はないんだから、 頼めるならうまい人に頼めばいいだけの話じゃないかなあ。

私もオーディションに行って、 標準的な英語(とか、ピジン英語)を喋る役だとアクセントで落とされることはあるけれど、 それは別に怒るところじゃないよね。仕様が合わなかったってだけで。

何というか、理不尽な仕様を要求されるなら怒りもするけれど、 リーズナブルな仕様なら、それで何かをしたい方が合わせるのは普通に見込むべき工数だよね。

★ ★ ★

まあそれとは別の話として、ハリウッド映画で日本人役がひどい日本語喋ってると 日本市場舐められてんな、とは思うけど。日本の市場規模が10倍になったら、 ネイティブ並の日本語を喋れない役者が日本人役をすることはなくなるんではなかろうか。

★ ★ ★

(追記2013/09/11 21:23:50 UTC): もしかして、Paulの言ってることが「英語圏に出てくるなら 英語くらいまともに喋れるようになって来いやゴルァ」という一般的な話として 理解されてるケースがあるのかな。

Paulはここでスタートアップ創業者の話をしている。1割生き残れるかどうかっていう 厳しい勝負の世界の話だ。そこでは、少しでも勝てるオッズを上げられる方策があれば 検討すべきだし、「これをすればほぼ確実に負ける確率が減る。そのやり方も確立されている」って 方策があるなら、願ってもないことではないか。もちろんそれにコストがかかるなら、 他の優先事項とバランスを考えた上であきらめる、という判断はありだけれど、 その検討さえしないでリングに上がってきたら「clueless」と言われてもしょうがないんじゃない?

Tag: 英語

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