Island Life

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2004/01/31

昔、ものを作るのは本質的に孤独な行為だと書いたことがある。

創造は、一回こっきりの出来事だ。 欲しくて止まない「それ」は「その時」にしか存在しない。 ひかり輝く「それ」を遠くから見ている時には、何としても手に入れたいと思う。 手を伸ばしてそれを掴んだ瞬間に、それは消えてしまう。

みんなでがんばって、一緒に手を伸ばしても、掴むのは一人一人。 みんながそれぞれ、自分独りだけで、自分にとっての「それ」と対面する。 時間と空間を共有していても、認識は共有できない。成長も共有できない。 手にしたものをそれぞれの心に仕舞って、それぞれの道へと進んでゆくだけだ。

それでもものを作るのは、「それ」を掴んだ瞬間に、 越えられない壁が越えられるような気がするからだ。 真っ暗な空間へと吸い込まれていった音が、 届かないはずの距離を越えて、 自分には認識できない別の世界で、 何かに共鳴する。

何年も何年も経ってから、 そういった共鳴の反響に出会うとき、 孤独の向こう側を信じることができる。

Tag: 芝居