2006/08/19
Y Combinatorの支援を受けていた、 Ruby on Railsで構築されたwebベースカレンダーソフトkikoの資産が オークション に出されている。Google Calendarが出てきて、競争するのはしんどいから撤退するって ことらしい。 Paul Grahamがblogに エントリを上げている。 要点だけ抄訳。
- これがWeb 2.0の終焉を示唆するとか騒いでるひともいるが、そんなことはない。
- Kikoのユーザの多くは既にGmailアドレスを持っており、Google Calendarが 出た時点でそうとうのユーザがそっちに流れた。
- Justinが学んだこと について書いている。余分なプロジェクトに力を注ぎすぎたと。 でも我々がやられたのは、Google CalendarとGmailの統合だった。 kikoには、競争するためにgmailを書くなんてことはできなかったからね。
- これがwebスタートアップをくじくことになるとは思わないけれど、 ひとつ重要な点がある。これは、GoogleがMicrosoft Office効果によって 得をした最初の例になるかもしれない。80年代から90年代にかけて、Microsoftは 個々のアプリ毎の競合相手を、アプリを緊密に連携させることでやっつけてきた。 webアプリでもこの戦略はいけるようだ。
- GoogleはMicrosoftよりも危険かもしれない。技術に関心のあるユーザが 好むからだ。Microsoftの新製品のユーザは最も技術に関心のない、 プレインストールされたソフトしか使わないような層だけど、 Googleと競争しようとしたら、本来ならスタートアップの味方である はずのアーリーアダプターの層を取り合うことになる。
- 大手も大変だ。YahooやMSNやAOLがクールなソフトをローンチしようと したって、クールなソフトを好むユーザはそういうサイトをもともと見にゆかない。
- スタートアップは、Googleの邪魔にならないところを狙うのがよさそうだ。
- いい知らせもある。Googleの進路は案外狭いんだ。少なくとも今までは、 Googleは自分達の社員が使いたがるようなものを作るのが得意なようだ。 自社内でベータテストを、時には何年もかけてやっているのだから。 賢いハッカーが仕事で使いたいような製品なら、この方法はうまくいく。 でもそうでなかったら? 検索とメールサービスは得意だけれど、 最初に手をつけたにもかかわらずYouTubeにはなれなかった。 likebetterみたいなものは考えもしないだろう。 (訳注:likebetterは今期のSummer Founder Programで作られたサイト)。
- もうひとつ、webスタートアップに励みになる点がある。 身軽なら、失敗してもたいしたことはない。 Kikoの開発につぎこんだのは、せいぜい一級のプログラマ一人の半年分のサラリーだ。 コードを売ることでその一部は回収できるだろうしね。Kikoは創立者以外に 一人しか雇っていなかったから。だからバブルの頃にあったようなひどい倒産劇には ならない。彼らは頑張って、良いものを作ったけれど、流れ弾に当たったんだ。 じゃあ、また挑戦すればいい。Y Combinatorは昨日、彼らの新しいアイディアに 投資したよ。
- それはGoogleの社員が仕事で使いそうにないものだ。 いや、たぶん私の知る限り、もっとも常識外れのベンチャーだ。 彼らがリスクを取る欲求を失わなかったのは良いことだ。
ところでオークションの今のhigh bidderがogijunってなってるんだけど、 ogijunさんですか?
Tags: YCombinator, PaulGraham