2008/04/23
The Mist
DVDで鑑賞。
スティーヴン・キング作品は多くが映画化されているが、 スーパーナチュラルな要素が物語に深く関わっている原作の映画化は ほとんど全てうまくいっていない。例外はキューブリック版『Shining』 くらいか。うまくいったのは、もともとスーパーナチュラル要素が ほぼ無い作品( 『Stand By Me』 『Shawshank Redemption』 『Dolores Claibourne』 『Green Mile』)か、サイコホラー的なもの( 『Misery』)ではないか。 原作の想像喚起力があまりに強いため、 スクリーン上のモンスターはどうしても読者の脳内のモンスターに比べて 見劣りしてしまう。
だが、キング作品においてスーパーナチュラルな要素は きっかけ、もしくは背景にすぎず、本当に描かれているのはその状況に 置かれた人間がどう振る舞うかということであるはずだ。 『The Woman in The Room』『Shawshank Redemption』 『Green Mile』とキング作品の映像化を成功させてきたFrank Darabont監督は そこんとこよーく分かっていらっしゃる。
『The Mist』はキング初期のスーパーナチュラル中編。異世界のクリーチャーを 出さないわけにはいかない。けれど、物語の主体はあくまで「その状況に 追い込まれた人間」にあるわけで、クリーチャー達は人間を追い込むのに 充分なだけconvincingであれば良いのだ。 (ただ、原作にもラスト近くで登場する巨大クリーチャーの映像は 実に美しかった。あれは私の脳内映像を越えてくれた。) そして肝心の人間ドラマの方は実にうまく、『蝿の王』的状況に落ちて行く 群集を描いている。
ラストは好みが分かれるところだろう。私は素晴らしいと思う。 特に、"Don't let those monsters take me." という Billyの台詞との関連を考えれば。あと『蝿の王』との関連も。
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