2009/06/21
仕組みを維持すること
あ、そうそう。思い出したので忘れないうちにメモ。
オープンソースの肝はシステムにある、 他の分野に応用しようとしてうまくいかなかったらそれは参加者ではなく システムの不備だから直せばいい、というようなことを繰り返し書いてみたのだけれど、 Paul GrahamがやっているHacker Newsは そのひとつの実践例になってると思う。
ああいうコミュニティベースのシステムというのは、最初にコアなユーザが集まって いるうちは質が高く保たれるけれど、次第に人気が出て参加者の裾野が広がって来ると 揚げ足取り合戦や人格攻撃が始まったりと、だんだん議論の質が落ちて行く傾向がある。
で、Paul Grahamは 「それは必然ではなく、システム的な不備であって、工夫によって防げる」という命題を 証明する実験としてもHacker Newsを位置付けていて、たびたびシステムをいじって 反応を見たり、別の方式を提示してみたりということをやっている。 実装してみたけど結局引っ込めたアイディアもある。 そのシステム、例えばスコアリングの方法などはオープンになっている (arcのソースに含まれている)。
一方でHacker Newsには人間の編集者も介在していて、ふさわしくない 投稿のタイトルを直したり、あまりにサイトの性格に沿わない投稿は没に したりしている。その判断は最終的には編集者の主観なんだけど、 そういう主観が介在することを隠そうともしていない。主観もまた、システムの一部なのだ。
そして今のところ、Hacker Newsでの議論の質は保たれている。 「自発的に」うまく回っているように見えるシステムの舞台裏では、 裏方が走り回っているものだ。
Tag: OpenSource