2013/01/11
小学校の英語
らむ太は学校では第一言語として英語を学んでいるわけだが、 見ていると自分が外国語として学んだ過程とはだいぶ違う。まあ当然だけど。 動詞の活用や名詞の複数形など、理屈で「こうだからsをつけるんだ」じゃなくて 用例にたくさん触れることで覚えてゆく感じ。
新鮮だったのは、関係代名詞とか完了形とかが早いうちから 何の説明も無しに出てくることで、まあそりゃ日常的に使うものだから むしろ出さないことが不自然なわけで、こういうのも規則以前に例で身につけて行くんだろう。
一応文法については、こういう図形と色を使ったので勉強してはいるようだ。
あとは語彙を増やすことと、すらすら読めるようになることが重視されてる感じかな。 後者については「一目で読めるべき単語」のリストがあって、それを順に練習してゆく。
語彙については、外国語として学ぶ場合は母国語との対応づけで覚えられるけど、 第一言語だとそういうわけにはいかないので、読書や会話で覚えたり、 韻を踏む単語、対義語、類義語を上げるゲームとかで増強してゆくことになる。 (こういうゲームは英語が非母語な親にとっても案外難しかったりする。 「1年生にもわかる単語」とそうでない単語の順序づけが頭に入ってないので、 探索範囲を絞り込めないのだ)。
で、そうやって既知の語彙の集合との関連でもって新たな語彙を増やしてゆく場合、 知っている語彙が十分に小さければ、単位時間に新たに学べる語彙 dV/dt は それまでに知っている語彙 V および関連づけに費やす時間割合 T (1日のうちどのくらい、既知の語彙に結びつける形で新たな言葉に触れているか)に 比例することになる。
バイリンガル環境だと普通にしてたら各言語あたりの T は半分になり、 語彙の増加速度 dV/dt が減って V が増えず、それによってさらに dV/dt が鈍るという 悪循環が。
らむ太との会話で、日本語の未知語が出てきて「××ってなに?」って聞き返されることは、 一日に10回や20回じゃ済まないけれど、それによって日本語の語彙が増やせても、 学校でそれを応用して定着させる機会がない。逆もまた真で、 学校で耳にした英語語彙について家で使ってみたり尋ねてみたりという機会がそれほど無い (独り言はほぼ英語だけど。) これはなかなか大変なことである。 日本語の言葉を教える時に英語も一緒に教えてみようとも したけれどちょっと情報量が多すぎて処理しきれないみたいだった。
「子供は頭が柔軟だから言葉は自然に覚えるよ」なんて言う人がいるけど 眉につばつけた方がいい。自然に任せておいて何とかなるのは、そういう素質がある 限られた子供だけだと思う。 学習の効率と負担を考えたら、ひとつの言語で十分な語彙のネットワークを構築した上で 新たな言語に取り組む方が圧倒的に良いはず。
「アメリカでは幼稚園児も英語を話せる」などと言って 英語の早期教育を推してる人もいるけれど、 これまでと同じだけ日本語の下地を作りつつ、 さらにアメリカの幼稚園児が英語に触れているのと同じだけの時間、 英語に触れさせるのはまず無理なわけで、 早期教育は異文化に触れさせる程度に止めといて (「英語を使えるようになること」は期待しない)、 ちゃんとした学習は中学校からでもいいんじゃないかな。
とおる。 (2013/01/14 05:40:48):
shiro (2013/01/14 10:07:12):