2011/04/13
Meisner intensive 2回目の6
最終回(4/12)。順当にいけばindependent activityとemotional preparationを エクササイズするところだけど、せっかくだから台詞の練習やシーンづくりに どうやってマイズなーテクニックを応用するか、というところまで踏み込もうってことで えらく駆け足&高密度な回になった。
まずthree moments→repetitionを復習。 「深く見る」ことはできるようになってきたが、相手の"behind the eyes" に 何かを見ようとするあまり、反応が疎かになっている、という注意。 深く見なければならないが、自分から探しに行くと、探すことに夢中になってしまい reactできない。探すのではなく、be open and let it hits you。
その注意を頭にindependent activityとemotional preparation。
最後の1/3は、せりふについて。
- monologueとMeisner technique。
- Learn a monologue "as a story" --- do not attach emotion. do not plan ahead.
- 相手に目の前に座ってもらい、repetitionと同じ要領---つまり、相手の反応に reactする---で、ただし言葉だけをモノローグのものに置き換える。 「こう言おう」と思ってやっていると目の前の人間が見えなくなる。 自分の演技を気にするな。せりふはただ流れ出すにまかせ、ただ相手にreactせよ。
- Emotional preparationの重要性。emotionally emptyな状態で始めても、 うまい役者なら途中でだんだん感情が乗ってくる。でも、うまい役者でもそこまで時間が かかるということ。emotionally fullな状態で始めよ。 If you need 15 minutes to prepare, do so. It's an exercise. On the set you have to do it in a minute, 20 seconds, like that, but first you have to practice to be emotionally full, and have to know how to do that. Once you know, practice to make it shorter.
- dialogとMeisner technique.
- 基本はmonologueと同じ。Emotional preparationとrepetition。
- 1-3wordsのtriggerを探せ。triggerを掴めば、せりふは自然に流れ出る。
結局30分程度オーバーしたけど、とてもためになった。
しかしここで分かった気になったことを練習で定着させないと薄れていっちゃうんだよなあ。
コンスタントにクラスを取りつづけないとだめだなあ。
Tag: 芝居
2011/04/11
グラフ指向理解
昨日のエントリで取り上げたjmukさんに続き、kdmsnrさんも直訳からはじめるとか。
これはもちろん唯一の正解があるわけじゃなく、人それぞれ自分の脳内のプロセスを反映した手法を選んでいるということだと思うけれど、私は直訳はしない。
私の場合、原文を読んでわかった時点で、脳内にあるのは英語でも日本語でもない、概念とその関連からなるグラフだ。「表現する」段階では、そのグラフをどうやったら日本語で伝えられるかを考える。
直訳を書き下すにしても一度内部グラフ→日本語という変換をしなくちゃならないし、後で「自然な訳」にするのにもまた内部グラフ→日本語の変換をかけるから、二度手間になるだけなのだ。
この内部グラフは、どうも自然言語とは独立しているように感じる。英語にせよ日本語にせよ、ある言葉の指す意味対象というのには広がりがあるものだけど、脳内グラフのノードは単語の指す領域よりも小さい、特定の意味だ。例えばjoyという単語の指す心理状態には幅があり、喜びという単語の指す心理状態にも幅があって、両者の指す領域はずれているけれど、原文を理解した段階では「ある特定の心理状態」というもっと絞り込まれた意味になっている。で、なるべくその心理状態を特定できるような日本語を探してあてる。それは辞書的に対応する言葉であることもあるし、そうでないこともある。
技術文書ならともかく、脚本のせりふなどでは、本当に言いたいことと実際に出てくる言葉が違うことが普通なので、辞書的な対応が全く無い言葉になることもよくある (もちろんそこには訳者としての解釈が介在してしまう。自分が訳すのはあくまで自分が参加する芝居で数ヶ所、日系移民が喋る言葉とかそのくらいだからいいが、戯曲の翻訳というのは自分にはとても出来る気がしない。)
だもんで、単語や短い句を持ってこられて「○○って英語でどう言うの?」とか聞かれるのはものすごく苦手。コンテキストがないと脳内グラフが作れないのでうまくマッピングができない。
で、おもしろいなあと思ったのは、私はプログラムを考える時も頭の中にはグラフがあって、プログラムはそのグラフをテキストとしてダンプしたものになっている。WiLiKi:Lisp:S式の理由 で書いたけれど、だからプログラムを書くときにいちいち頭の中のグラフを翻訳しなければならないプログラミング言語よりも、グラフを生に近い形でダンプできるLispの方がずっと書きやすい。
でも非Lisperなプログラマに脳内グラフのことを話してみてもあまり賛同されないので、Lispを好むか好まないかの境目は案外そのへんにあるんじゃないかという仮説を持っているのだけれどどうだろう。
そしてまた、Haskellerの頭の中にはレゴブロックみたいのがたくさんあって、 それぞれに
Γ, x:T1 ⊢ t2 : T2 ------------------------ Γ ⊢ λx:T1.t2 : T1 → T2
とか書いてあって、出っ張りと凹みの形がぴったり合わないと組み立てられないようになっているんだ。 きっとそうに違いない。とも思っているんだがどうだろう。
Tags: 翻訳, Programming, Lisp
2011/04/10
翻訳と理解
向井さんが『オーソン・スコット・カードの「翻訳」記事がやばい件』 で翻訳についてあれこれ考察していて面白かった。
翻訳に必要なのは、「原文を理解すること」と「それを日本語で表現すること」である、というのは全くその通りだと思う。このうち、後者の難しさというのはわりと理解しやすい。誰しも自分の言いたいことを思うように言い表せなくて苦労したり工夫したりした経験がある。
これに対し、前者はまず何が難しいのかをわかることが難しい、のだと思う。これは英語の問題ではない。どの言語で書かれているかによらず、他人が書いたテキストを自分がどのくらい理解できたかを知るには、まず「テキストを理解できた」という感覚を知る必要がある。無論、理解というのは一つの100%の正解があるものではなく、特に文芸的なテキストならば層がいくつも積み重なっていて理解できたと思ったその先にまたさらに理解すべき世界が開けている。けれども、「今、層のひとつを突破して、見えてる範囲では要素がクリアに組み合わさった」という感触はかなり確かなもので、それを一度知れば、新たなテキストに取り組んでいる時に、今自分は理解できているのかできていないのか、できていないとすればどのへんがまだわからないのか、がわかる。
自分はこの「理解できたという感触がはっきり得られるまでテキストを読む」というトレーニングを、学校で受けた覚えが無い。大学で人文系を専攻すれば多分そういうトレーニングがあるだろうし、良い教師に当たれば中学や高校でも習えるのかもしれないが。私自身は、主として芝居の脚本を読むことを通して「読むとはどういうことか」を知ってきたように思う。
向井さんは原文の理解について、生硬な直訳を作ることからアプローチする方法を紹介していて、それも手段の一つではあり得る。特に、事実関係の把握については、直訳でも理解していない部分が明確にあぶり出されるので有効だろう。ただ、その上の層や下の層は直訳では落ちてしまうことが多い。上の層とは例えばそれぞれの事実について話者がどのくらいウェイトを置いているのか、どちらの方向へと印象づけようとしているのか、といった部分であり、下の層とは例えば文の前後のリズムからここでこの単語を選択している、とか、ここはAからBへの流れを強調するために文を切らずに関係詞節でつなげている、とか、ここはあそこと呼応してる、とかそういう部分。今適当に思いついたことだけ言ってるけど、もちろん上の層や下の層はもっと大きな広がりを持っている。
意訳というのは原文にあるそういった多層の構造を汲んでできる限り訳文に反映させることで、単に直訳を離れて自由に訳すことではない。ある訳文がそういう訳文になった理由というのはかならず原文に無ければならない。(とは言え、自分が訳すときはかなり直感に頼っていて、すべて考え抜いた訳、というふうにはなってないんだけど。目指すべき理想として。)
読むトレーニングが難しいのは、「理解できたかどうか」を直接確かめる方法が無いからだろう。頭の中を直接覗くことはできないので、理解の程度を確かめるにはいろんな方向から突っついて反応を見る、というインタラクティブなやりとりにならざるを得ない。問いを固定してしまうと、その問いに特化したショートカットが作れてしまい、理解して言ってるのかショートカットしてるだけなのかわからない。国語のテストがつまらないのはそのせいだ。本当の面白さは、各人に対する個別の問いかけや議論でしか味わえない。
この点で、演劇はもっと日本で初等教育に採り入れられてもいいのにな、と思う。 読むだけでなく、自分の身体で表現し、周囲とインタラクトしなければならないので、 嫌でも理解を問われることになるから。今の日本ではそういう体制が無いから 教えられる人を集めるのが大変だろうけれど。
2011/04/06
Meisner intensive 2回目の5
4/5日分。今回はindependent activityとemotional preparationにフォーカス。
- Independent activity
- Don't fake doing. If the character is supposed to clean the table in the scene, then commit to clean the table, and say your line, reacting. You can see so many actors just pretend to clean. Meisner actors really clean the table.
- Independent activity is to train yourself to be able to do the activity and to react simultaneously.
- During the exercise, do not push emotion. Do not suppress it either. Just let it happen.
- Emotional preparation
- It is not only an exercise but a useful tool for real acting.
- Prepare yourself so that you can go in to the emotional state in 10 or 20 seconds; directors won't be happy if you take 15 minutes before each scene.
- The moment before
- This is not a Meisner technique, but it can be combined with emotional preparation.
- "The moment before": Think about what happened 3 seconds before the scene opens. It's better if the event increases obstacle for your character. Do emotional preparation, think the moment before, and you're ready for the scene.
Tag: 芝居
2011/03/31
Meisner intensive 2回目の4
3/29日分メモ。
- Acting evolves
- There can never be a fixed "Method" or "System".
- Technology advancement, new media, etc. E.g. Acting for interactive entertainment differs from film acting.
- Repetition is the foundation
- Stripping away precognitions
- Do not plan ahead - it's the key (remember story building exercise).
- Emotional preparation
- It is for the first few moments of the scene. It's to bring something into the scene. Once you are in, you can react to whatever hits you.
- You can use real experience, or you can make up one (fantasy), or mix them---as far as it makes you feel strong emotion, it's ok. (This is the stark difference between Meisner and Method; in Method, you draw the emotion from your real experience.)
- If you use imagination, really use it. Imagine all the details to the point that it is believable to you. A vague concept doesn't work.
- Do not try to show the emotion. Almost by definition, if you are conscious of showing it, you are not fully feeling it.
エクササイズはindependent activityとemotional preparation。
用意していったindependent activityにダメ出しされた。 「失敗したら本当にまずいことになる」という わかりやすいシチュエーションにした方が良いとのこと。
Imaginationを拡げる練習: Daydreamせよ。例:今、$3M手に入って、 これを使わなければならないとしたら (投資、後に残るものの購入、 寄付、貯金はだめ)、何に使いたい? 自分が本気で信じられるくらい、 具体的定量的に妄想せよ。 ($3M具体的に使い切るのは案外難しい。投資になっちゃう。)
印象に残ったquote: "Text is like a canoe, and emotion is a river."
Tag: 芝居

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