2009/08/19
冠詞
ネイティブな英語話者にとって冠詞と名詞の関係は、冠詞の方が主で名詞が従である、 って言ってたのってマーク・ピーターセンだったっけ。
冠詞の使い方で意味が変わる場面も少なくはないので、非ネイティブな英語話者として、 英語を喋る時には「冠詞チェッカスレッド」が自動的にバックグラウンドで走る 習慣ができてしまった。思考は名詞中心に考えちゃうんだけど、チェッカスレッドが それをチェックしていて発語の手前に介入して適切な冠詞を入れる感じ。
ところで今日から本番の「Mai Poina」でこんなやりとりがある。
- Suzuki: Where is Queen?
- Interpreter: Queen Street?
- Suzuki: No, no Queen. Hawai`i Queen.
Suzukiが私の役で、Iolani Palaceにリリウオカラニ女王を訪ねてやってきた。 なので最初のせりふは文法的には "Where is the Queen?" が正しいのだけれど、 日本人移民で英語が不自由という設定なので"the"を抜かしてしまう。
Interpreterはネイティブ話者で、"the"がついていないので一般名詞だと 思い、Queen Streetを探しているのか、と聞き返す。
これが、せりふをさらってる時にはちゃんとできるんだけど、 役に入ってせりふが自動化されてくると "Where is the Queen?" と言ってしまうので往生した。 直前まで"where is queen, where is queen..." とさらってても 場面に出ると"the"が入ってしまう。 冠詞チェッカスレッドが勝手に動き出して"the"を入れてしまうらしい。 "the"を入れてしまうと"Queen"が女王を指していることが明確になってしまうので、 次の"Queen Street?"というInterpreterのせりふがありえなくなってしまうのだ。
昨日のゲネでやっとちゃんと言えたので、本番は大丈夫であることを祈ろう。
2009/08/12
いろいろ
おお気づいたらもう八月も半ばではないか。
先々月末から先月頭にかけてはShibuya.lisp テクニカルトークに帰省と出張の日程を合わせて、 初参加。動画も上がっているのでご覧のほどを。 毎度だけど小黒さんのプレゼンのレベルが恐ろしく高い。見習わなければ。
Shibuya.lispの運営メンバーには感謝。コンスタントに発表の場があるという ことはそれだけですごいことです。場があると、じゃあ何かやってみようっていう 動機になるし。
それから何してたっけな。こっち戻って2週間くらい仕事対応で忙殺されてたような。
そんで今月頭から1週間SIGGRAPH。New Orleansは2000年以来。あの時は GSCubeでFF Movieの1シーンをリアルタイムでレンダリングするデモを やったんだった。髪の毛は確か6000本くらいのline segmentを anisotropic specularつけてセルフシャドウ無しで描いてたんじゃなかったかな。 今や500000本をdeep shadowでGPUで描ける時代。隔世の感があるのう。
この後の予定。
- 来週水曜〜金曜(19,20,21)に、ホノルルダウンタウンで開催される"Mai Poina Tour"に
役者として出演。1893年、ハワイ王朝がクーデターで白人富裕階級に乗っ取られた事件を、
イオラニ宮殿などのゆかりの場所を回りながらガイドが説明してると、役者演じる当時の
時代の人がやってくる、という趣向。無料だけど要予約。こちら案内:
Mai Poina . . .
On August 19, 20 and 21, the Hawai` i Pono`i Coalition will present "Mai Poina," a gentle walking tour that reviews the important events and sites surrounding the overthrow of the Hawaiian Kingdom. Guides and costumed role players will tell the story of this pivotal episode in the history of our islands. The tours are free of charge and will begin each evening at 5:00pm, 5:30pm and 6:00pm in front of the State Library. Reservations are required as space is limited. Please call Karen at 262-5900 for reservations and further information.
This tour is written and produced by Hawaii's own Victoria Nalani Kneubuhl and sponsored by the Hawai`i Pono`i Coalition. Hawaii Pono`i is the title of the Hawai`i National Anthem written by King Kalakaua in 1874.
Literally translated "Hawaii's own", Hawai`i Pono`i connects us to the history of the islands and the heritage of its indigenous people, a heritage that enriches us all. The Hawai`i Pono`i Coalition was formed to educate those who choose to live in and visit the islands about Hawaii's true history . . . "`O ka poe i aloha i ka `aina-the people who love the land."
- 8/29、LLTV出演。 私は朝から生テレビで 吉岡さん弾さんとなにやら討論するのと、 大改善!! 劇的ビフォーアフターで 『匠の技』を見せるらしい。
- 8/29,30、第参回天下一カウボーイ大会でトーク。 カウボーイ大会の日程は主催者からの発表待ち。 私は"LISP IS EVERYWHERE"というタイトルで喋る予定。 Lisp自体の話というより、Lispが提供する「ある見方」についての話かな。
Tags: 芝居, Conference
2009/06/22
らむ太語録
寝ていたはずのらむ太が "Hey, sir, we're in trouble, trouble" と言いながら廊下を駆けてきた。
らむ太は夢を日本語と英語のどっちで見てるんだろう? (たぶん夢の中の登場人物によるんだろうけど。デフォルトとして)
Tag: 生活
2009/06/21
仕組みを維持すること
あ、そうそう。思い出したので忘れないうちにメモ。
オープンソースの肝はシステムにある、 他の分野に応用しようとしてうまくいかなかったらそれは参加者ではなく システムの不備だから直せばいい、というようなことを繰り返し書いてみたのだけれど、 Paul GrahamがやっているHacker Newsは そのひとつの実践例になってると思う。
ああいうコミュニティベースのシステムというのは、最初にコアなユーザが集まって いるうちは質が高く保たれるけれど、次第に人気が出て参加者の裾野が広がって来ると 揚げ足取り合戦や人格攻撃が始まったりと、だんだん議論の質が落ちて行く傾向がある。
で、Paul Grahamは 「それは必然ではなく、システム的な不備であって、工夫によって防げる」という命題を 証明する実験としてもHacker Newsを位置付けていて、たびたびシステムをいじって 反応を見たり、別の方式を提示してみたりということをやっている。 実装してみたけど結局引っ込めたアイディアもある。 そのシステム、例えばスコアリングの方法などはオープンになっている (arcのソースに含まれている)。
一方でHacker Newsには人間の編集者も介在していて、ふさわしくない 投稿のタイトルを直したり、あまりにサイトの性格に沿わない投稿は没に したりしている。その判断は最終的には編集者の主観なんだけど、 そういう主観が介在することを隠そうともしていない。主観もまた、システムの一部なのだ。
そして今のところ、Hacker Newsでの議論の質は保たれている。 「自発的に」うまく回っているように見えるシステムの舞台裏では、 裏方が走り回っているものだ。
Tag: OpenSource
2009/06/21
ソフトウェア開発以外の分野でのオープンソース?
( essaさんに触発されてちょっとがんばってみる)
オープンソースソフトウェア(OSS)界隈では、 たくさんの人が自発的に協力し合って今までにないスピードで 営利企業が成し得なかったことをやっちゃう、みたいなすごいことが起きてて、 だからソフトウェア開発以外にもオープンソース的手法を使ってそういう「いいこと」を 起こそうって考える人たちがいる。
そういう人たちに、ひとつだけ注意して欲しいのは、目に見える手法---たとえば プロセスをオープンにするとか、誰でも参加できるようにしてネットで広く協力者を 募るとか---だけをコピーしてもうまくいくとは限らないよ、ということ。
OSS界隈で「いいこと」がたくさん起きたのは、 オープンソースの中に、ハッカーという人種の気質をうまく利用して ソフトウェア開発という目的に向けて自発的協力を引き出す仕組みが内包されていたからだ。 (詳しく知りたい人はノウアスフィアの開墾を読むといい)。
この仕組みは、目に見える明文化された方針よりもずっとずっと強固に、 ソフトウェア開発に特有の性質や文化と結びついている (たとえば、ソースがあれば実際に動作するプログラムを誰でも作れること、 不満があれば自分で改良できること、 プログラムが動作するかしないかは客観的に判定できること、 全体としてのゴールはより良いプログラムを手にすること、などだ)。
だから、こういう性質を持たない分野に、OSS界隈で使われている 手法をそのまま適用しても、うまく動く保証はない。 たまたまうまくいくこともあれば、うまくいかないこともあるだろう。
他の分野で、OSS界で起きてるのと同様な現象を起こしたかったら、 真似るべきはオープンソースソフトウェア開発の表面的な手法じゃない。 対象分野における参加者の性質と、成し遂げたいゴールを分析して、 OSSがやったのとパラレルになる、その分野特有の「仕組み」を考えることだ。 そして、その仕組みを実際に動かしてみることだ。 思うように動かなかったとしても、それを環境のせいにしちゃいけない。 その環境で「いいこと」が起きるようにできていない「仕組み」の方に 問題があるのだから、うまく動くまで、問題を直して何度でも挑戦しよう。
たぶん、そうやって出来上がったものが、ソフトウェア界における オープンソースの遺伝子を継いだ、別の分野でのオープンソース的な何かに なるんじゃないかと思う。
Tags: OpenSource, ものつくり
