Island Life

2012/05/03

フリーランス、アベラビリティ、20%ルール

気がついたらフリーランスになって10年経ってた。 やれるところまでやってみてダメだったら職探せばいいや、 と思っていたけど案外なんとかなっている。とはいえそれは振り返って言えることで、 先を見れば相変わらず3ヵ月先がどうなってるかはわからない。 でもまあ、「人生はそういうもの」だという感覚にすっかり馴染んでしまっていて、 むしろ今は長期雇用のような長いコミットメントをすることの方が怖いかもしれない。

フリーになる前の一番の不安は「継続して仕事があるのか」ということだった。 で、10年やってみてわかったのは、この不安は無くならない ってこと。 だから、不安と共存する方法を身につけ、目が悪い方に出た時の準備をしておくしかない。

仕事を請け続けるにあたっての十分条件は多分無いけれど、必要条件はいくつかある。 その中で、あまりに自明で見落としがちな(私自身、フリーになるまで気づかなかった) 必要条件は、「availableであること」だ。仕事が目の前に転がってきた時に 「自分ならこのくらい(時間/費用)でできます」と即答できる状態でないと、 その仕事は逃げていってしまう。 (availabilityについては前にも書いた: 『reliabilityとavailability』)

もちろんスケジュールの問題で請けられないのは仕方ないけれど、 ある仕事に必要とされるスキルや知識を、その仕事の話を聞いてからえっちら勉強し始めるのでは遅い。 「何となくこういう方向のプロジェクトを考えているんだけど、良いアイディア無い?」と 話を振られた時に提案できるネタを持ってるかどうかでも、 仕事につながる率は大きく変わってくる。 当たり前の話ではあるけれど、常に準備を怠るべからず、ということだ。

で、仕事の切れ目を長くしないためには、ある仕事をしている間にも 次の仕事に向けた準備や種まきを続ける必要がある。仕事を請けたからといって 100%それにリソースをつぎ込んでしまうのは、次に向けた準備が出来ないという点では極めてリスクが高い。

これは伝統的な「精一杯仕事をすることが次につながる」という価値観に反するように 聞こえるかもしれないけれど、100%リソースをつぎ込むことだけが「精一杯の仕事」ではない。 コミットした範囲で、確実に成果を出すことが重要なのだ。 (Cf. 『本気』)

もちろん、100%で取り組む価値のある仕事というのもあるから、 ケースバイケースで判断するべきだけど。そういう特殊ケースを除いた 定常運転の時は、持ち時間の20%〜25%くらいを、今取りかかっている仕事以外の、 次の仕事につながりそうな準備に使うべきだろうと感じている。 (実際、hourly rateで請求書を書いてくれ、と言われた場合、だいたい30h/weekとか20h/weekにしてる。 自分の準備のための25%にお代を頂くわけにはいかない)。

この事情は企業であっても同じはずだと思う。 変化の速い業界では会社のリソースの一定割合を目先の仕事以外に振り分けて、 次への種まきとしておかなければならないだろう。そして、次に何が来るか 予測し難い業界であればさらに、なるべくオプションを広げておきたいはずだ。

そう考えれば、 業務時間の2割はアサインされたタスク以外のことをする、という Googleの20%ルールはとても理にかなっている。 会社が2割の社員を指名して種まきをやらせるかわりに、 それを開発職全員に分散させているだけだからだ。 より大きなdiversityを得るという意味ではむしろ分散させた方がいい。

20%ルールを、社員のモチベーションを引き出すためと解釈している意見も 見たことがあるけれど、それよりはむしろ企業が生き残るためのリアルな戦術なのだと思う。

Tags: Career, 仕事

2012/05/03

ピアノレッスン47回目 / 1周年

  • Brahms: Capriccio Op76-2 (b minor): フレーズの変わり目に近づいた時に、注意が次のフレーズに向いてしまって雑になるのを気をつける。あとはok。
  • Kapustin: Op40-8: 四分音符=96でほぼ暗譜。完全に暗譜するまでは音を丁寧に拾うこと。

店の展示品のSteinwayでブラームスとKapustin Op40-7を弾かせてもらった。ピアノとの相性が良かったのか、前にYamahaのコンサートグランドを弾いた時みたいに戸惑うことは無かったな。

レッスンをとり始めてから早いものでもう1年経った。仕事に波があるし出張もあるしで定期的なレッスンを続けられるかどうか自信が無かったのだけれどやってみたら案外なんとかなるものだ。時間的制約がある方が、効果的な時間の使い方を真剣に考えるのでむしろ捗るように思う。

この1年での変化で大きいのは、テクニックの基礎錬をルーチン化してほぼ欠かさなくなったことだ。以前はハノンとか気が向いたらやってたけど、曲に夢中の時はつい時間がもったいなくて曲ばっかりやっていた。でも基礎の支えがないとなかなか向上しないのでむしろ効率が悪い。1日40分取れるなら、40分曲をやるより、20分基礎やって20分曲、の方が効果的だ。ピアノに触っていない時に、曲について20分で何をどうやるかを考えておけばいい。

今のルーチン (アルペジオ7th,dim7,major,minor + スケールmajor,minor) をM=152で通すと20分弱で、忙しくても20分何とか時間が取れればこれだけはやるようにしている。余裕があれば重3度のスケール。

この1年でやった/やっている曲をまとめてみた。こうしてみると近現代偏重か、とも思ったけどKapustin除けばそれほどでもないか。来週からStravinskyを始める。

  • バロック
    • Bach: Fantasia in C minor, BVW906 ()
  • 古典
    • Mozart: Sonata in A minor, K.310
    • Beethoven: Sonata in D minor, Op.31-2, Tempest ()
  • ロマン
    • Alkan: Etude in D minor, Op.39-2, En Rythme Molossique
    • Brahms: Capriccio in B minor, Op.76-2
    • Rachmaninov: Prelude in G minor, Op.23-5
  • 近代
    • Debussy: Suite Bergamasque ()
    • Ravel: Sonatine
  • 現代
    • Shostakovich: Prelude and Fugue in A major, Op.87-7 ()
    • Kapustin: Concert Etude, Op40-2, Reverie
    • Kapustin: Concert Etude, Op40-3, Toccatina
    • Kapustin: Concert Etude, Op40-6, Pastorale ()
    • Kapustin: Concert Etude, Op40-7, Intermezzo
    • Kapustin: Concert Etude, Op40-8, Finale

録画は、当初はレッスンでokが出た後にポリッシュアップしておいていくつかまとめて録ろうとか考えていたんだけど、それではいつまで経ってもアウトプット出来ないということに気づいたので、考え方を変えて、雑でも何でもとにかく録っておくことにした。気構える程、ハードルが高くなってやりづらくなる。日常的な行為にしてしまった方が、アウトプット→フィードバックをたくさん回せるので効果が高い。というわけで近々ブラームスとカプースチンの40-7も録画せねば。

Tag: Piano

2012/05/01

favorite

"favorite"は名詞または形容詞、と思ってたら、動詞でも使えるようになってたのかー。伝統的な辞書にはまだ出てないっぽいけど。「ブラウザの『お気に入り』に入れる」という意味で今や普通に通じるようだ。まあ"bookmark"だってその意味で動詞として使えるしな。

いやtwitterの機能って全然使ってなかったんで、実はさっき初めて"favorited"という表現に気づいて「あれ、"favored"じゃないんか」と思って調べたのだった。「ファボる」という表現は見たことがあったけどfavoredの略だと思ってた。 favoritedがbookmarkedとほぼ同義なら、favoredとはちょっとニュアンスが違うのだな。

Tag: 英語

2012/05/01

米国で何年も生活して仕事してても…

…警察の取調べで完全に英会話をこなせる自信の無い人は多いと思う。

バス事故の運転手が日本語ネイティブでないという報道について、「取調べで通訳が必要なのにどうして免許とれたのか」というコメントをあちこちで見た。

言葉が使えるというスペクトルはうんと広くて、その中では、何らかの仕事を得て生活してゆける語学力というのはかなり下の(簡単な)方だと思う。というのは、「出現する語彙やフレーズが予想できる」場合に難易度ががくんと下がるから。繰り返す日常も、仕事場も、会話内容にかなり予測が効く。でも普段出会わないコンテクストになると難易度が跳ね上がる。

専門家と議論するより、小中学生の集団を相手に会話する方が語学的にははるかに難しい。

免許を取る、という過程もコンテクストがかなり絞られる。筆記試験はテキストをあらかじめ読んでおけるし、教官の指示だって内容はかなり限られるわけだから。なので「免許を取る」ということは、それ自体にかなり高度な知識を要するものであっても、語学的には極めて楽な部類に入ると思う。

ところが役所の手続きとかになると、耳慣れない単語が出てきたり、日常的な単語でも特殊な意味を持っていたりして、難易度が増す。取調べとか裁判になるとなおのこと、言葉のすれ違いが重大な結果につながることもあるわけで、語学的にも相当難しい状況になるんじゃないかな。まあ、取調べは取調べでコンテクストがあるので、刑事ものや裁判もののドラマを見まくっていたら難易度が下がるかもしれないけれど、普通の生活ではあまり縁が無いコンテクストだからなあ。

Tag: 英語

2012/04/26

ピアノレッスン46回目

  • 基礎錬、4日ほど続けてM=160にしてみたら親指の付け根が痛くなった。まだちゃんと弾けてないのでM=152に戻す。
  • Brahms: Caprricio Op76-2 (B minor): M=72
    • 先週検討した工夫を盛り込んでいったらだいぶおもしろくなった。まだ荒いのでもう1週がんばってみる。
  • Kapustin: Op40-8
    • 四分音符=80で前半部のみ。
  • Kapustin: Op40-7
    • 少しづつ、少しづつ良くなってるんだけどなあ。これは録音できるところまで仕上げたいが、それにはまだ遠い感じ。

Tag: Piano

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