2014/05/17
ローコンテクストな会話をするためには、何がコンテクストかを知る必要がある
「空気を読む」のは日本人だけじゃないよ(参考1,参考2)とか、 国語の「登場人物の気持ち」は重要な設問だよ (参考3,参考4)といったことをこれまでも書いてきたけど、それに関連する話。
「グローバル」化が進むと、これまでの日本文化の「空気を察する」という ハイコンテクストな会話は通用しないから、 国語で「登場人物の気持ち」を考えさせるよりは、 ローコンテクストで論理的な表現の読み書きを教えた方がいい、という意見がある。
確かに、(今は変わっているかもしれないが)私が受けた国語教育は、 文学的な読みと、言語による表現の基礎という要素が同居していて、 しかも前者に重きが置かれすぎている印象があった。 これについては、両者を分離したうえで、 言語による表現は(いわゆる文系/理系といった)進路にかかわらず 基礎的なスキルとして教えたらいいんじゃないかと思っている (参考5)。
ただ、文学的な読み以前の、コミュニケーションの基礎技術を教えるにあたっても、 『空気』で あげたような教育は重要だと思うのだ。
ここを誤解する人がいるようなんだけど、ポイントは「空気を読むことを教える」ことではない。 「私たちは、多かれ少なかれ、何らかの空気を読んでいる」という事実に 早いうちに気づかせることである。 (アスペルガー症候群のように「空気を全く読めない」性質を持っている人であっても、 「周囲の人間は空気を読んでいる」という事実を知っておくことは有用だろう)。
ローコンテクスト、つまり「空気」を共有しない会話をするためには、 まず自分や相手が依拠している「空気」が何かを知る必要がある。 しかし無意識のうちに「空気」を読んでいる人は、自分が何を暗黙の前提として 話しているのか意識できないだろう。また、「空気」が一種類しかないと 思っている人は、相手が「空気」を読めてるか読めてないか、で判断し、 相手が自分とは違う「空気」に依拠しているとは思わないだろう。
必要に応じて、会話における「空気」の共有量=コンテクストの量を調整したり、 相手の「空気」についての仮説を立てて動的に調整したり、というスキルは 「空気」の通用しない相手と会話をする時にこそ、必要になるのだ。
別の文化に移住する経験、例えば日本で育ってアメリカで働き始めたりすると、 空気の通じなさを思い知って自ずと気づくことになるのだけれど、 ネットを通じて誰もが異文化圏と直接接する機会がある現代では、 複数の文脈を意識することを基本的なリテラシーとして教えることは むしろ重要になっていると思う。
(なお、「空気を察する」ことと「それに合わせる」ことは別問題である。 日本で「空気を読む」と言った場合、「合わせる」ことも含意するので 話がややこしくなっているのだが、 これも「一種類しかないため、分けて考えられない」例だと思う。)
yamasushi (2014/06/29 11:00:41):
yamasushi (2014/06/29 11:23:30):
shiro (2014/06/29 21:48:08):
yamasushi (2014/07/01 07:35:56):
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yamasushi (2014/12/03 10:59:42):